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暴かれた秘密の鍵 +

by
おぱんにゃにゃ
おぱんにゃにゃ

桃『盗まれたようだ』

お伽噺地区3丁目、古めかしさが一周して逆にモダンに見える文化アパート。


時代が遡行トキガエシした、その一室で
オレっちと桃の字は1週間ぶりに
顔を合わせていた。

金『盗まれたぁって…なにがだ?』

友の部屋はさながら、鬼と死闘を
繰り広げたと言われても納得のいく
荒れようであった。

何か盗られたとて、わかるか。

桃『あれだ、あの鍵が…』

指でクローバーのマークを描く。

金『…ああ、あのきたねえカギ』

と言うか、結局
警察には渡さなかったのか。


金『無くしただけじゃねえのか?
ほら、この部屋の調子じゃあ、もう
床に落ちたら終わりだろう』

桃『いや、炬燵の上にこれが』


TAK YOR EaRT

金『た、た…け……?』

桃『うむ、なんと書いてあるかは

まるでわからんが、どうやら
盗人の置き土産のようだ!


赤と黒が渦巻いた、目に痛いカード
である。置き主の意思を代弁する
かのように、カード自体があざ笑っ
ているように見えた。

金『あんなモン盗んで
なんになるんだ…?』

桃『やはり、あの鍵には何か
秘密があったようだな…!』

こうしてはおれん!と、桃から
産まれたような勢いで立ち上がる友。

頭甲の紐を締め直し、散乱する
吉備だんごを掻き分けドアへ行く。

金『なんだぁ、鬼退治か?』

桃『警察へ行くぞっ!
被害届けを出す』

………
……


婦警『またお前達かっ!』

口元にバウムクーヘンの破片が
ついている。きっと、オレっち達の
予期せぬ来訪までは、奥の部屋で
まったりしていたのだろう。


例の公園を迂回し、まだ花開くには
早い桜並木の小路の中程にある
派出所…
下校中らしき児童たちの黄色い声が
時々通りすぎてゆく。
時刻は、もう夕暮れであった。

金『姉ちゃん、下校時刻くらいは
前で見張ってた方が良いんじゃ
ねぇか…?』

婦警『お前達のような不審者が
いなければっ!私はそんな事を
しなくて済むのだっ!』

逆ギレじゃねぇか。

ふと壁のポスターを見れば
スローガンらしきもの…
【無事故・無通報
非常~~に、喜ばしい】
と書いてあった。
ただの個人の感想である。

桃『緊急を要するのだ、婦警殿。
俺のカギが盗まれた』

婦警『盗まれた…?なんだ、
家のカギか?』

桃『いや、拾ったものだ』

婦警『別件で話を聞かねば
ならんヤツか!』

話が拗れそうなので、オレっちから
説明を入れるハメになった。
これ以上、友人をお縄にさせる
訳にはいかない。

ーー

婦警『…なるほど、盗んだとか
そういう訳ではない、と』

桃『うむ、拠点の破壊は鍛練の
一環であって、別に不届きな…』

金『お前はもう喋んじゃねえ!』

口を開けば誤解ばかり招く。
そのうち鬼退治の話も、やれ
面白がっていたとか、やれ宝物を
強奪したとかいう伝聞で
拡がりそうである。

婦警『だが、そんな出どころ不明の
ちっぽけな鍵ひとつで被害届けを
出されてもな…』

面倒だ、と顔に出ている。

金『いいじゃねえか、姉ちゃん
どうせ暇だったんだろ?』

婦警『いつでも重大な事件に
駆けつける為、待機しているのだ!
そんな鍵に構っていたら、それこそ
時間の無駄ではないか』

税金の無駄じゃないのか。

この国に、限りない絶望を覚えた
時ーー

ジリリリリリッ♪

婦警『む、電話か…忌々しい』

どうして誰もかれも私の領域に
踏みいるのだ…
と、ぶつくさ言いながら婦警は奥へ
向かう。妙に古めかしい、
愛嬌のある黒電話に手を伸ばす。

婦警『私だ!…ん?ああ、警察だ…
ああ……あ?…何ぃ…?』

なにぃいい…の、【い】と共に
帽子がずれ落ちる。

やがて電話を切ると、【い】の口を
維持したままコチラに変な足取りで
向かって来た。

金『んだよ、事件か?』

婦警『…近隣の住民からの通報だが
…その、なんだ…』

鍵がーー

盗まれたらしい。

オレっちと桃の字は、顔を
ただ、見合せた。

                 疲れた、おわり




















 
作成日時:2021/03/06 01:25
コメント( 2 )
きくらげ
きくらげ
3月10日 14時6分

wonderlandでジョーカーと遭遇したことないんですかね?

おぱんにゃにゃ
おぱんにゃにゃ
おぱんにゃにゃ
3月10日 16時29分

きくらげの旦那⊃
ないんかもなっ!数多の物語があるように、これも
1つのおとぎ話ってヤツだからな。
闇の軍勢がどうとか、関係なしの世界なら
こんな感じじゃなかろうか、という妄想だっ!!
あん、思ってた物語と違う?これが本当の戦記だっ!!
文句あんならどしどしコメントしなっ!全面的に
テメエらが正しいと言ってやるぜぇええっ!!

きくらげ
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