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ロビン・フッドとロビン・シャーウッド

by
ニコ(にがこ)
ニコ(にがこ)


はじめまして、普段は森羅の守護者達を愛でるインターネットおえかきマンをやっています。かぐや使いです。


今回はロビン・シャーウッドとメイド・マリアン、そして彼等を取り巻く世界を原典を通して解釈したお話をしていこうと思います。
つまりwlwのビルドや戦略の話は一切触れないものになります。予めご了承ください。だって雑談タグがあったから!


ロビン・フッドとは?

中世イングランドの伝説上の人物で、シャーウッドの森を本拠にし権力者と戦う義賊。
元々イギリス中世のバラッドから始まったロビン・フッドの物語は、物語そのものではなくロビン・フッドという人物自体が語り継がれることで演劇、音楽劇、詩、小説…様々な形で時代を駆け抜けていきました。
話によって当時の時代背景や政治背景が色濃く見えてくるのもロビン・フッドの魅力の一つだと感じています。


主要人物解説
(wlwに登場するキャラに絞っています)

・ロビン・フッド
物語の主役。上述の通り義賊でアウトロー(※)。
wlwロビンを見ての通り弓の名手。
中世バラッドでは農民(ヨーマン)出身ですが、16世紀後半からハンティンドン伯爵の仮の姿として描かれるものも増えました。

(※アウトローとは:犯罪等により法の保護を受ける事が出来なくなった人物の事。指名手配犯のもっと重たい物と考えもらって大丈夫だと思います。)

・マリアン
ロビンの恋人。初めて登場したのはルネサンス期の五月祭で中世バラッドの頃には登場しなかった人物です。
ロマンスが重視されるようになった近代以降はマリアンを扱う作品が増えていきました。

・リトル・ジョン
ロビンの右腕的存在。中世バラッドの頃から登場しています。リトルとは名ばかりの大男で、物語によってはその背丈は7フィート(約2メートル13センチ)と記されています。

・マッチ
中世バラッドから登場するロビンの仲間。粉挽き屋の息子です。(あまり特筆するべき事がないのですがwlwマッチめっちゃかわいいからみんなリリィフェスやろうね!)

・獅子心王
リチャード1世、実在のイギリス王です。とても勇敢な中世騎士の典型とされ、第三次十字軍遠征に参加しました。



wlwロビンを形作る要素
(※ここからは個人妄想を交えて考察していきます。鵜呑みにはしないでください。)


・何故貴公子なのか

何故アウトローであるロビン・フッドがwlwで戦陣の貴公子称号を得たのでしょうか。
元々の中世バラッドでは農民出身だったロビン、しかしエリザベス朝でのロビン劇の中でアントニー・マンディが「貴族ロビン」を生みだしました。(正確には貴族設定はここが初出ではないですが。)キャラ紹介でも少し書いたハンティンドン伯爵です。
ハンティンドンは11世紀からの名門で、狩人(ハンター)の縁語となる伯爵をロビンと同一人物とした説で非常に興味深いものになります。
更に貴族化した事で性格にも変化が生まれ、中世バラッドの頃に比べるとマンディのロビンは温和な紳士となっており、それに伴いマリアンもフィッツウォーター伯爵の令嬢に格上げされています。
wlwロビンの貴公子称号、wlwマリアンのエルフ国の姫という設定はマンディから始まったハンティンドン伯爵のものがベースになっていると思われます。
wlwロビンも、どちらかと言うと温和で紳士的な面が目立ちますからね。大体女たらしチャットのせい。


・人間ではなくなっているロビン

こちらはロビン・フッドから少しズレたお話になります。
ロビン・グッドフェローというイングランド伝承に登場する妖精がいます。パックやホブゴブリンなどと同一視される事が多く、シェイクスピアなどのエリザベス朝の文学作品によく登場します。(先程の貴族ロビンもエリザベス朝時代のものです。)
その中でも17世紀に存在した小冊子、「ロビン・グッドフェロー 悪ふざけと陽気ないたずら」では妖精王オーベロンと田舎娘との間に生まれた合いの子で、夢の中で父親から何にでも変身できる方法が記された巻物を受け取りその力を悪を挫き善を助ける為に使うように指示されるという話が存在します。

ここで注目したいのは変身能力、悪を挫き善を助ける、そして妖精と人間の合いの子であるという3点です。

ロビン・フッドは変装を得意としており(あと多分趣味)、事あるごとに変装をしています。
様々な姿に変装して人を助け、悪を成敗する姿はロビン・グッドフェローと重なる部分があるのではないでしょうか。

そして妖精と人間の合いの子について。
wlwロビンはwlwマリアンと同じく耳が長いですが彼女と違って肌が青くありません、以前わたしはその違いをロビン・グッドフェローを通して「マリアンは純エルフだが、ロビンはハーフエルフなのではないか」という説をTwitterで話しました。
その後資料集が発売され、ロビンは人間の父親とドライアードの母親の合いの子という事が判明しました。性別こそ逆ですがロビン・グッドフェロー説はかなりいい線いってるのではないかと考えています。

尚ロビン・フッドに妖精などのファンタジー要素が皆無かというと実はそうではなく、19世紀頃には妖精パックが登場する話がありましたし、ロビン達が精霊の加護や神通力で代官との戦いに勝つようなものも存在します。
なのでロビン・シャーウッドはロビン・フッドとロビン・グッドフェローが融合して生まれた存在だとわたしは解釈しています。


・ロビンとマリアンのジェンダー観

言葉選びが難しかったです。
wlwではロビンが中性的な男性、マリアンが男勝りな女性というキャラ付けがされておりゲーム内のモーションはお互いに馴染むような中性的なものになっています。(本当に最高だと思います。)

五月祭で行われたモリス・ダンスではマリアン役は主に少年、時には成人男性が演じていたこと、更にパントマイム劇でのロビン・フッドは女性が演じていた事と合わせて考えてみるとwlwでの彼らのキャラ付けはなかなか面白いのではと感じます。正直深読みですが。

しかしwlwマリアンはCR10到達の際に「〜皐月の女王なんかじゃない。」と言っており、五月祭でのマリアンを否定するようなセリフがあります。自分は森の兵隊であり女王ではないというこのセリフは近代の自ら戦うマリアン像と重なる部分があります。


・ドライアードについて

ロビン・フッドには登場しませんがwlwロビンを語る上でかかせない存在が木精ドライアードです。

ギリシャ神話ではドリュアスと呼ばれる木の精霊ドライアードは、オークの木の実を食べていたとギリシアの人々の中で想像されていました。ちなみにロビンが本拠としていたシャーウッドの森にはメイジャー・オークと呼ばれるとても大きな樹が実際にあり、ロビン一味の集合場所だったと伝えられていますので、wlwではそこをロビンとドライアードに結び付けたのかもしれません。

また人前に滅多に姿を現さないドライアードですが、美しい男性を見つけると緑色の髪をした美しい娘の姿で現れ木の中に相手を引きずり込む事があるんだとか。(助けてくれた男性と結ばれる話も存在します。)
wlwロビンの父親もそうして先代ドライアードと出会い結ばれ、そしてロビンが生まれたと考えると非常に楽しいです。ロビンのチャットが相手を口説くようなセリフが多いのはもしかしたら母である先代ドライアードの遺伝(?)なのかも…?


最後に

ロビン・フッドは時代によって様々な話が存在し、今もまだ見つかっていないバラッドが存在しているのでは、と言われる程です。
時代や国によって様々な姿で語られたロビン・フッドは時を経て児童文学や映画、そして神筆で描かれたロビン・シャーウッドとして今もわたし達を楽しませてくれています。

wlwではロビンだけではなく、他の物語もかなり細かいネタが仕込まれて、原典を知らないと気が付かない物が数多くあります。
そんな魅力的な原典に少しでも興味を持っていただけたら、と思い今回は記事を書かせてもらいました。
あまり文章が得意ではないので読みづらい箇所もあったと思いますが、ふんわりと楽しんでいただけたなら嬉しいです。ふんわり読める文章量じゃなくなりましたけどね。これでもまだまだ書き足りないくらいです!

それではここまで読んでいただきありがとうございました。良いワンダーライフを!


(今回の記事を書くにあたって岩波少年文庫の「ロビン・フッドのゆかいな冒険」(ハワード・パイル作)、岩波新書の「ロビン・フッド物語」(上野美子著)を主に参考にさせていただきました。前者はロビンの物語で後者は解説本になります。気になった方は是非手に取ってみてください。)
更新日時:2017/09/17 22:25
(作成日時:2017/09/17 13:14)
タグ
雑談
コメント( 2 )
いわなの怪
いわなの怪
9月17日 21時27分

多くの知識から説得力のあるとっても面白い考察でした、文章量も多く、ほんとに楽しませていただきました。
投稿おつかれさまです、と、ありがとうございます!

Iwarin
Iwarin
9月23日 23時22分

大変楽しく読ませていただきました。元々ロビン好きでメインに使っていましたが、この記事を読んだことでより楽しくプレイできそうです♪

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